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耐入力1kW油冷ダミーロードの製作 [アマチュア無線]

 今回、ローカル局の方に1kW入力が可能なダミーロードの製作を依頼されましたので、作ってみました。

自局用に作った物は以前ここで紹介したとおり、耐入力100W程度の無誘導抵抗を使ったものでしたので、今回、同じように無誘導抵抗を使って製作すれば確実に出来ると考えました。しかし新品は見つからず、ヤフオクを探してみると中華製50Ω200Wの無誘導抵抗の未使用品が1個だけ見つかりました。オークションは価格が上がることも予想されたり、落札出来ないこともあるため諦めてしまいました。結果的には1kΩ5Wの金属皮膜抵抗を20本並列に接続し、50Ωとすることにしました。

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このとおり、先ず、20本の抵抗を直径50mmの円形状銅板上下で挟むように、それぞれ並列に100W程度のハンダ鏝を使って接続しました。収容する容器として、ホームセンターで塗料を薄めるのに使う約3リットル容積の円筒状の缶を買い求めました。これにM型のメスコネクタ-と冷却油が暖まった時の圧力ベント栓を取り付けます。

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M型コネクタは固定するために、径に合ったスプリングワッシャーを用います。ベント用の栓は、ホームセンターでいろいろ探してみましたが、既製品でぴったりのものは無かったので、自転車用タイヤの空気入れのパーツを買い求めて加工しました。

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M型コネクターとダミー抵抗を接続する8D-2Vケーブルです。上がコネクタ側で下がダミー抵抗側です。またダミー抵抗を固定するために2個の銅板を使うことにしました。それぞれを100Wのハンダ鏝を使い接続加工します。

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それぞれを、このように接続加工しました。左下はベント用の栓です。

この状態で大まかな特性を測定しました。

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一番低い1.85MHzのSWRです。当たり前ですが良好です。

7_52mSWRnonoil.jpg

50MHz帯のSWRです。全く問題ありません。

次に100WのCWで30秒間ほど連続で負荷試験を行いました。抵抗部分は熱くなりましたが触れないほどではありませんでした。特に問題は無いようなので、容器に油を充填します。アマチュア的には、サラダ油とかエンジンオイルを使う方もおられますが、私の場合は以前に使っていて、未だ十分余っている絶縁高圧トランス用オイルがありましたので、それを充填しました。手持ちのダミーロードでも最初はエンジンオイルを使ったのですが、熱の対流が悪く、長い時間リニアアンプの試験を行うと缶が部分的に熱くなりました。思い切って絶縁高圧トランス用オイルを購入し、オイルを入れ替えてみると熱の対流が良くなり、部分的に熱くなることは無くなりました。

8_OilIN.jpg

こんな感じでオイルを充填しました。


10_51mSWRoilIN.jpg

50MHz帯におけるオイル充填後のSWRです。特に問題はありません。

11_145mSWRoilIN.jpg

144MHz帯におけるSWRです。実用上は使えますが、ここまでが限界と考えられます。アンテナアナライザで測定した結果、144MHz帯以上では容量性のリアクタンスが増加してました。

12_Kansei.jpg

オイルを充填して完成した油冷ダミーロードです。ハイパワーの電力では温度が上昇し、オイルも膨張したりしますので、ベントの黒いキャップを外して圧を外へ逃がします(因みに自局用に作ったダミーロードでは、M型同軸

コネクターが4箇所のネジで取り付けるタイプで、圧はネジの間隙から逃げているため、ベントは用意しておりません)。14MHz、200Wで数秒の断続で5分間程のCWによる負荷試験の結果、缶全体の温度上昇は手持ちの1kW耐圧のダミーロードと遜色なく、SWRの変化も認められませんでした。ごく短時間の1kW入力なら十分大丈夫そうなので、近々、ローカル局に渡す予定です。


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